アップルのCEO、ティム・クック氏は、同社が今夏に株主に予定通り配当を支払う際に、自身の制限付き株式ユニット(RSU)への配当金の支払いを拒否するよう要請した。配当金の受け取りを拒否することで、クック氏は約7,500万ドルの配当金を犠牲にすることになる。
マックオブザーバー:
膨大な現金残高に対する懸念が高まる中、アップルは3月に自社株買いと1株当たり2.65ドルの配当を「2012年7月1日に始まる2012年度第4四半期中に」開始すると発表した。
アップルの報酬委員会は金曜日に証券取引委員会に提出した修正案の中で、配当は制限付き株式ユニット(RSU)にも適用されると宣言した。RSUは、一定の権利確定要件に基づいて将来的に株式を発行する、一部の同社従業員に付与される報酬の一形態である。
2011年にクック氏がアップルから受け取った報酬には、90万ドルの基本給と3億7600万ドルを超える制限付き株式ユニットが含まれていました。これらの権利は、クック氏がアップルに在籍する限り、10年間かけて段階的に付与されます。RSUに配当を支払うことを決定することで、アップルは従業員がまだ満たしていない要件に基づいて報酬を支払っていることになります。
AppleはSECへの提出書類の中で、「制限付き株式ユニットは発行済みの普通株式ではないため、通常は配当を受け取る権利がありません」と述べており、修正案では「配当相当額の付与は、報酬が付与された際に会社が意図した株式ベースのインセンティブを維持し、報酬保有者を株主と一貫して扱うことを目的としている」と説明している。
同じ提出書類には、クック氏が自身のRSU(制限付株式ユニット)の配当金支払いを拒否する旨が記載されている。「クック氏の要請により、同氏のRSUはいずれも配当相当額を受け取りません。発行済みRSU112万5000ユニットの権利確定期間を通じて、1株あたり2.65ドルの四半期配当金を受け取ると仮定すると、クック氏は約7,500万ドル相当の配当金を受け取る権利を失うことになります。」
金融業界では、クック氏の行動をめぐって意見が分かれている。利他的な行動だと見る向きもある一方で、今年初めにクック氏の報酬額が公表された際に受けたような否定的な報道を避けるための試みだと見る向きもある。